第19回亀倉雄策賞 渡邉良重 WATANABE Yoshie

受賞作:デザインイベントの企画展出品ポスター「HOKUSAI_LINE」(cl:デザインアソシエーション)

受賞のことば

いつだったか、一番好きなポスターは何ですかと聞かれた時に、わたしは1964年の東京オリンピックのポスターです、と答えました。それは今でも変わりません。日の丸と金色の五輪のポスター、短距離走者のスタートした瞬間のポスター。それを目にする時わたしは、日本人として誇らしい気持ちになり、嬉しさがこみ上げてきます。多くの時間が経っても色褪せないこれらのデザインは眩しいです。わたしが作るものは、随分違っています。時間が経ってみると自分のデザインを反省することも多いです。どうして時間が経たないとわからないのか不思議に思いますが、それはわたしが少し成長したから?と前向きに考えたりもします。永い時間にも耐えられる色褪せないデザインをしたいと最近強く思います。
受賞作の 「AUDREY(オードリー)」はチョコレートとイチゴを中心においたスイーツのブランドです。一店舗目は、横浜髙島屋に、二店舗目は日本橋髙島屋にできました。嬉しいことにクリスマスやバレンタインデーの前は随分な行列ができる人気店になっています。飴玉やチョコレートの包み紙、デパートの包装紙や箱は、子供の頃に触れた大切なデザインで、それを宝物にしました。わたしがデザインしたAUDREYのパッケージも誰かのそんな存在になれれば嬉しい、でもそれが可愛いだけのそれではなく、デザインとしても成り立っている表現にしたいといつも思っています。この仕事は本当にありがたい仕事です。クライアントやお客さんに喜んでいただけること、そしてデザインできることが嬉しい。さらにこのような賞もいただけました。もっと多くの人にAUDREYを知ってもらえるようにわたしも頑張りたいと思います。この賞をいただいたことを新たなきっかけとして、客観的に自分がつくるものを見つめなおしたい。そして歩いたり走ったりしながら継続的に前へ進んで行きたいと思います。

渡邉良重

渡邉良重

WATANABE Yoshie

1961年山口県生まれ。山口大学卒業。1986年宮田識デザイン事務所(現・ドラフト)入社。植原亮輔と共に2012年にキギを設立。グラフィックデザインの他、現在もドラフトのプロダクトブランド「D-BROS」のディレクターを務めながらも、糸井重里氏が主宰する「ほぼ日」と洋服のブランドCACUMA(’13年~)を、さらに滋賀県の伝統工芸の職人たちと、陶器・家具・布製品などのブランドKIKOF(’14年~)を立ち上げ。また、デザインワークの流れの中で作品制作をし、展覧会を行っている。’15年に東京・白金にキギの生み出すデザイン製品等を販売するショップ&ギャラリー「OUR FAVOURITE SHOP」をオープン。絵本『BROOCH』(文・内田也哉子)、『ジャーニー』(詩・長田弘、ジュエリー・薗部悦子)、『UN DEUX』(文・高山なおみ)、『ぬりえの赤ずきん、くるみ割り人形、不思議の国のアリス』(文・安藤隆)、および作品集『キギ/KIGI』『KIGI_M』をリトルモアより刊行。東京ADCグランプリ、D&AD金賞、One Show Design金賞、NY ADC金賞などを受賞。

掲載書籍:『Graphic Design in Japan 2017』(2017年6月発行)
連絡先:キギ メール